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斯くして緑色の奇妙な生物-歩行雑草-を捕獲に成功したものの、今後「コレ」
と行動を共にするのかと思うと少し憂鬱気味になったりする桐子だった。
そして、憂鬱な気分を払拭するべく、野兎の肉と食べられる野草も手に入った事
も在り、今夜は皆で鍋を囲んでいる。
「生態調査の一環ですし…多少は我慢しましょう…。取り敢えず、雑草のままで
は呼びにくいですし、名前を付けましょうかね」
頬に手を当て軽い溜息をつき、暫しの黙考。
そして先日、同行しているヤヨイが熱心に言っていた事を思い出し、とても嬉しそ
うに手を叩く。その内容は『あれは「韮」』だった。
「では、今からあなたの名前は「にら」です。決まりね。」
「モッサァァァァァ」
「もっさー以外の言葉は喋れないのかしら…。」
「…モサ?」
「にら」と名付けられた歩行雑草は問いに呼応するかの如く、言葉(?)を発した。
永遠に続く毎日など存在しない。その日常は一瞬の出来事によって大きく変化
する。もしかすると、明日の朝になったら「にら」と名付けられたこの生物は、姿
を消している可能性も在るし、調査対象には不足であり、即放流する事になる
可能性も在る。
「桐子さん、明日も早いですし、そろそろお休みしましょう?」
「あ…そうね…。えぇ、そうしましょうか。」
その様な瑣末な事を考えている桐子は、同行している仲間からの声により、今
在るべき現実へと引き戻された。
「雑草をボーっと見つめて、何を考えてたんですか?」
問うて来たのは同行者の牡丹。彼女の生い立ちを聞くと驚く事に江戸だという。
どうやらこの島には、次元という枠すら越えて、人々を招待しているらしい。
ソレが何物なのかは知った事ではないが、様々な時代、環境、人種、或いは人
ではない「ソレ」との出会いがあるというのは、在る意味で恵まれた環境なのか
もしれない。
「ちょっと、今後の事をね。あはは。」
「?」
哲学的な事を考えていた等と、到底理解できる筈も無いので、曖昧に笑ってお
茶を濁す事にしたようだ。案の定、牡丹は一瞬だけ訝しげな表情を見せるが、
詮索するのも無粋というものだと理解したのだろう、すぐに元の笑顔に戻った。
翌朝目が覚めると、桐子は真っ先に「にら」の元へと向かう。
「よかった、ちゃんと居るわね。起きたら逃げ出してるかと思ってたわ。」
「モサ?」
「にら」はそう答え(?)て首を傾げる。人語を解しているかどうかは判らないが、
昨日遭遇した野兎ですら人語を解していたのだから、何ら不思議ではない。
そして、一向は短い食事を終え、今後の行き先について相談を始めていた。
「昨日は魔方陣を見つけましたが、さてさて、今日は何が在るのかしら…。」
「そうじゃな。如いて言うなれば、壁が歩いておる…くらいじゃろうか。」
「へ…? かべ…ですか…?」
「うむ、ほれ、あそこじゃ。」
そういってザジが気だるそうに指差した先には、実に確りとした足取りで壁が歩
いていた。序でに言うなら、絵本に出てくるような小さい悪魔のような形をした生
物も一体確認できた。ソレラを確認した後、今度はシルバが別の方向を指差す。
「あっちには黒猫と黒兎もおるで。」
其方を見ると、先ほどと同じように悪魔のようなモノが二体、真っ黒な兎が一羽、
そして実に愛苦しい黒猫が二匹確認できた。
「私、あっちにいって猫ちゃんを捕獲したいです…。」
「まあそういうな、次が在るじゃろう。それに、多数のペットを連れ歩く程の余裕も
無かろう。今はその珍妙な雑草が調査対象じゃなかったのか?」
「う…それは、そうですが…。あぁん、猫ちゃーん。」
本気で残念そうな顔をしながら言う桐子を、ザジが正論で宥める。
そんな二人のやり取りを、他の仲間達は笑って眺めていたのだった。
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ペット獲得記念で、名前を悩んでました。で、PMの日記を見てにらにらにらにら
いってたので、「どーせなら、にらにしちまうか!」ってことで、雑草はめでたく
韮に進化しましたとさ。PMの日記に絡めたのはコレが初じゃなかろうか。
そして、とーこさんの猫大好きな一面をみせています。猫カワイイヨ猫。
私も猫が大好きです。猫は至宝!眼福の極み!
旅行でミコノスの猫島行きたいなぁなんて思ったりもしてますけど…。
そんな余裕ないっすw
そして、法律的に許されるのであれば、リアルで虎を飼いたいと思っています。
虎に乗りたいと思った猫好き人間は、きっと私だけじゃない筈だ!
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